Night Sessions/Chris Botti [FUSION]
洗練されたクールなグルーヴの上で、喋り過ぎず黙り過ぎずのトランペットの旋律に、まどろみながら耳を傾けるのが乙な季節になった。
スムース・ジャズ系のトランペッターとして、抜群の人気を誇るクリス・ボッティ。
マイルス・デイヴィスの影響を受け、長い下積み時代に腕を磨き、スティングに見出されてメジャーデビュー。その卓越した実力と甘美で繊細な音色で、『世界一美しいトランペット』などと呼ばれている。
もうそれだけで充分だと思うのだが、クリス・ボッティの人気の秘密はトランペットの演奏だけではない。それは、このジャケットを一目みれば察しがつくだろう。
イケメンなのだ。
アメリカでは、この甘いマスクを活かして俳優としても活躍するほどの人気らしい。
う~ん、うらやましい。。。俺もこのくらいのイケメンに生まれていたら人生が変わってたかも。。。。
いや、ちょっと待て。果たしてホントにイケメン人生が良いもなのか、ここは冷静に考えてみよう。
イタリア系の血を引くアメリカ人なんていう、とんでもないイケメン血統で生まれてしまったら、日頃のフェイスケアも怠ってはならないし、体型の維持や髪型にもずっと気を使わなくてはならない。僕は努力が嫌いなのだ。
街に出ると、いちいち女性に振り返られてウィンクされるだろうし、最悪の場合は求婚されてしまうかもしれない。一方で、女性の恋人である男性からはキツーい嫉妬の視線を向けられるに違いない。
それだけではない。日頃の生活にも、色々と不都合が出てくるはずだ。
寝癖頭を靡かせて短パンのままコンビニにタバコを買いに行くのも難しくなりそうだし、本屋でちょっとエロ本を立ち読みなんて事もおそらく無理だろう。酔っ払って駅のベンチでへたり込む姿も、イケメンでは絶対にサマにならない。
イケメンのパパを持った娘たちだって大変だ。学校や幼稚園では、父がイケメンだというだけで、なにかとチヤホヤされて結構なプレッシャーとなり、勉強が手につかなくなるかもしれない。
下手に病気や怪我も出来ないぞ。入院なんてしてしまうと白衣の天使にもみくちゃにされてしまって治療どころではなくなるのは目にみえている。オペの最中に、僕の顔に見惚れた女医がメスを持つ手をすべらせる可能性だってある。そうなれば早死にの原因になりかねない。家のローンがたっぷりと残っているのだから、そいつは非常に困る。
バカは風邪をひかないというが、困ったことにイケメンが病気や怪我をしないという保証はないのだ。
軽く想像するだけでも、イケメンはイケメンで何かと大変なのだ。……たぶんね(笑)
貴公子のトランペットの音色に酔いながら、僕はクリス・ボッティに生まれなくて良かったと、ほっとしている。
ベストトラック
2.Miami Overnight
11.Through an Open Window
10.Light the Stars
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