This is Pat Moran/Pat Moran [JAZZ]
BlueNoteの名盤『Cool Struttin'』(別記事あり)なんかも素敵なジャケットに違いはないが、こちらも劣らず秀逸なジャケットだ。オッサンであれば軽度か重度かに関わらず、先天的に持っている 『脚フェチ心』ってやつをくすぐってくれる。1956年の作品なので『脚ジャケ』としては、『クール・ストラッティン』よりもこちらが先である。
このアルバムでベースを弾いているスコット・ラファロは、ビル・エヴァンスの最高傑作であるRIVERSIDE時代の『トリオ四部作』において、そしてエヴァンスの生涯で最高のパートナーでもあった。
その中でも、おそらく最もポピュラーな存在である超々有名盤『Waltz for Debby』が録音されたステージの10日後、自動車事故によりその短すぎる生涯を終えた。たった数年のキャリアで、残された録音は決して多くないのだが、それまでの『低音を支え、リズムを刻む』というベースの常識を覆し、モダンジャズベース奏法に大きな風穴を開けたベーシストとして有名だ。
耽美的な美しさと、トリオによる濃密なインタープレイの緊張感を兼ね備えた、奇蹟的なビル・エヴァンス・トリオの成り立ちは、この天才スコットラファロの才能なくしてはあり得なかったのは間違いないだろう。
ジャケット写真では真っ赤なパンプスの踵を鍵盤に乗せて『主役はあたしよ~』と云わんばかりに主張し、楽曲でも男勝りなパワフルな演奏を聴かせているモラン嬢ではあるが、本作の主役はどう聴いてもスコット・ラファロではないかと思わざるをえない。
後のエバンス・トリオのようなピアノとベースでの絡み合うようなインタープレイこそ無いが、ランニングベースにおいても魅力を見せつけているし、リーダーであるパット・モランのピアノソロをも明らかに喰ってしまっている印象。奇抜なアレンジで緩急つけまくりの『踊り明かそう』なんかは、まさにラファロの独壇場とも言える。ピアノのアドリブを聴いているつもりが、いつの間にかベースの動きに神経が行ってしまうほどだ。しかしこれはパット・モランが悪いのではない。スコット・ラファロのベースがやはり凄いのだ。それを逆説的に証明しているのが、『星影のステラ』をはじめとするピアノの独奏による幾つかのトラック。ベースの音が何とも待ち遠しくって聴いていると退屈してしまい、ついついジャケットを眺めては、鍵盤に乗っかったパンプスの大きさからパット・モラン嬢の背格好を想像してニヤニヤしてみたり、後ろにぼんやり写っているスコット・ラファロがどんな顔形だったのかを考えてみたりしてしまうのだ。
ベストトラック
side-B-3. I Could Have Danced All Night
side-A-3. Onilosor
side-A-1. Making Whoopee
CDはステレオらしいですけど持っていません。
カラーなので、
「クール・ストラッティン」のぱくりと思ったら
こちらの方が古いんですか。
by 空兵ーS (2009-03-28 23:53)
スコットラファロ、ブラウン同様、天才プレーヤーの事故、天は不条理です。
by mwainfo (2009-03-29 00:41)
吸い込まれてゆくような素敵な曲ですね♪
ジャケットも素敵(^^
by sak (2009-03-30 20:50)
・空兵ーSさん、ありがとうございます。
「クール・ストラッティン」の録音が1958年とのことなので、こちらが先ですね。しかしながら、レコードジャケットの裏に『COPYRIGHT 1958 AUDIO FIDELITY』と印字されているので、発売はほぼ同時期なのかもしれません。
by なちゃ (2009-03-30 22:22)
・ mwainfoさん、ありがとうございます。
クリフォード・ブラウンも交通事故で亡くなったのですよね。二人とも若い絶頂期だっただけに残念ですね。
事故に遭わなければ、どんな素敵な演奏をしていたのか・・・
by なちゃ (2009-03-30 22:30)
・sakさん、ありがとうございます。
『踊り明かそう』は僕も好きなスタンダード曲です。スローな3拍子から突如4拍子になったり、アレンジがかなり突飛でめまぐるしいですが(笑)
by なちゃ (2009-03-30 22:34)
niceをくださった皆様、ありがとうございます。
by なちゃ (2009-03-30 22:35)