Cooking The Blues/Buddy DeFranco Quintet [JAZZ]
Buddy De Franco(cl)
Tal Farlow(g)
Sonny Clark(p, org)
Gene Wright(b)
Bobby White(ds)
兎に角、ファンキーさが身上のソニー・クラークが珍しくオルガンを弾いているのを聴くだけでも、このアルバムを手に入れる価値があるというものだ。
ごめん…これ嘘です(笑)
ソニー・クラークがオルガンを弾いてるのは本当だけれど、ピアノで聴かせるあのファンキーさは微塵もなく、毒にも薬にもならないコード流しに終始している。オルガンでソロを取っているのが⑥なのだが、コードバッキングなのかソロなのかわからないくらい地味だ。このアルバムをソニー・クラークのオルガン目当てで聴くとがっかりすることになると思う。
もちろんピアノのプレイは、まだ無名時代の録音とはいえ、やっぱりソニー・クラークらしくてファンキーですけどね。
さて、このアルバムの主役はバディ・デフランコのクラリネット。
ジャズでクラリネットといえば。。。???
とにかく知名度においてはベニー・グッドマンの独壇場みたいなところがって、それゆえに音色とフレージングの両面でスイングジャズのイメージから抜けきれずに、ビバップの出現とともにクラリネットの人気はあっという間に廃れてしまった。
かつての花形楽器もサックスやトランペットにその座を奪われて、楽器そのものの知名度は高いものの、モダンジャズの世界ではすっかり過去の楽器とされてしまった感がある。ジャズでベニー・グッドマン以外の名手となれば考え込んでしまう人も結構多いのではないだろうか?
僕自身もクラリネットの名手といえばベニー・グッドマン以外は直ぐに思い浮かべることが出来なくって、モダンジャズの花形楽器はやっぱりサックスとかトランペットだと思っているクチだ。同じ木管楽器どうしでもテナーやアルトに比べて、どう聴いても音色や音量の線の細さが否めない印象があるのだ。
ところがバディ・デフランコは、クラリネットの柔和な音色はそのままに、溢れ出て止まらないアドリブフレーズと、それを管体から放出する為の卓越したテクニックでクラリネットを見事にモダンジャズの中で再び開花させている。たとえば『言い出しかねて』や『スターダスト』といった、元々美しいメロディを持つ曲なんかは、優しくアクのないクラリネットの音色にピッタリだと思う。
兎に角、クラリネットを冬の時代から救おうと、アドリブを磨いて孤軍奮闘したバディ・デフランコのインプロバイザーとしての根性を聴くだけでも、このアルバムを手に入れる価値があるというものだ。
…これは、本当です(笑)
ベストトラック
A-3.STARDUST
A-1.I CAN'T GET STARTED
B-3.INDIAN SUMMER
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