Little Tiny/矢野沙織 [JAZZ]
アルト奏者、矢野沙織の7枚目でありN.Y.録音の『LITTLE
TINY』。
ボーナス・トラックの『A列車で行こう』では、昭和歌謡の女王美空ひばりが17歳の時の歌唱音源をもとにした、とても面白い共演が実現している。個人的には、この曲がインパクトでは突出していた。
小学生にしてジャズに目覚め、14歳の頃にはプロになることしか考えてなかったという。中学生ながらジャズクラブに手当たりしだい出演交渉を自ら行い、才能を認められてプロの道へ。初めてテレビで演奏を聴いた時は本当に驚いた。
CDデビューするにあたり、矢野沙織にとって『16歳のぴちぴち女子高生』という人的属性は少なからずアドバンテージになっただろうと思う。その分、やっかみ半分の痛言を浴びることも多かったのではなかろうか。
しかし矢野沙織は、そのアドバンテージを上手に利用しながら、それをきちんと理解しているようにも見える。
ぬかりなく演奏と女を磨き、音楽的に聴かせる部分も、ステージに立つ見せる部分も、サックスの音色にしても、凡百のアルト奏者よりも着実に進化を続けていると思うし、メディアに出るときは似合う服を着ていて、女性として実にいい顔をしているな~、と思う。まぁとりたてて美人とは思わないが(笑)
いっさい誤魔化さずにストレートに唄う『ダニー・ボーイ』あたりからは、弱冠21歳とは思えない枯れた雰囲気が漂っていて、もう既にベテランの域にいるかのような貫禄を覚えるし、かと思えば、原信夫S&Fの伴奏をカットしてまで美空ひばりとの共演に挑む、天真爛漫さというか勝負根性というかね・・・いったいこの人、10年後にはどうなっているんだろう・・・・
どうかしっかりとジャズを続けて、オリジナリティに富んだサックスを吹いてほしいものです。
ところで、矢野沙織のこのアルバムについて、あるジャズの専門家のコラムを読んで、気になった箇所がある。
こんな零細ブログでは恐れ多くて書けないくらいに、ジャズではすっごく高名な人。
気になった箇所を抜粋するとこうだ(青字)。
『どうでもいいけど、プラケースの中に沙織が艶かしいインナーで生脚をバッチリ写した写真が挿入してあるんだけど、キミはグラビア・モデルじゃないんだからね。何か勘違いしてない?!』
…あの~、言っちゃっていいっすか~?
マジ、ハンパなくあほっすかー?
専門家のCDレビューには作品に手厳しいものもある。また読者にはそれが面白かったり、逆に作品への興味をそそったりもする。専門家が書く文章には、そのくらい影響力があると思うし、あってもらわないと詰まらない。そしてその厳しさは、音楽への愛情から出る厳しさであるべきで、着飾ったファッションにネチッこい言い回しでつける演奏とは無関係な『いちゃもん』は、僕のような素人のブログに任せておけば充分な、居酒屋での雑談レベルに過ぎない(笑)。しかも捨て台詞よろしく『どうでもいいけど』とは何事ぞ!?
つーか、どうでもいいなら書くなよ(笑)。
ジャズの専門家がお金をもらって署名入りで書くような文章とは、僕には思えない。
写真だけ撮ってろ・・あ、しまった、うっかり書いちゃった(笑)
まぁこんな石頭な頑固オヤジがふんぞり返っているから、ジャズってイマイチ人気がないんだろうな~、なんてことを思った。
そのあたりも若い矢野沙織には頑張ってもらいたかったりするわけだウィッシュ(笑)
ベストトラック
3.クロース・トゥ・ユー(遙かなる影)
9.ダニー・ボーイ(Irish Folk Song)
10.A列車で行こう(Special Tribute Track)
kaznさん、sakさん、nexus_6さん、shinさん、たねさん、nanoさん、niceありがとうございます。
by なちゃ (2009-02-09 23:48)