As We Speak/David Sanborn [FUSION]
CDを取り巻く世の中も変わった。家にいながらネットでCDを物色して注文と支払いまで出来る。こうやってビールを飲みながらパソコンで遊んでいるうちに家にCDが届くなんて、便利になったものだ。
素晴らしい演奏が詰まったアルバムに出会えることが若い頃と変わらず嬉しい反面で、そうでなかった作品は、たったワンフレーズすら印象に残らぬまま棚の中に埋もれ、パソコンのHDの中に圧縮したまま忘れて行く。
音楽に興味を持ち始めた中学生の頃、僕にとっては高価だったレコードの一枚一枚・・・そういえば一枚のレコードのために必死で小遣いを貯めたり、レコード店に行っては数枚の中から一枚を選ぶのにえらく時間をかけてたっけ。
で、このCDのハナシなんだけど、今年の2月頃にAmazonで注文した時の価格が799円。あまりに安かったので思わずカートに入れちゃったんだけど、そりゃ輸入盤なので円高やら何やらで価格の変動ってやつは多少あるにしても、新品で千円を余裕で切ってしまう値段にはびっくり。
それが、さっき同じ商品を同じAmazonで見ると、1522円になってるわけ。
まぁ、安く買えたので文句はないっすけど、たった2ヶ月の間でほぼ倍額に跳ね上がってるの見ると、『CDの正味の値段っていくらなの?』とは思う。
『As We Speak』を初めて聴いたのは、フュージョンにはまり始めた中学生の頃だったかな。買ったのはもちろんLP盤。『ささやくシルエット』なる(当時は)お洒落な邦題や、肩パットを装着したようなサックスを持つ男の影のイラストなんかはズバリ80年代って風情なわけだが、サウンドも然り。
でもこのアルバムは、僕にはあまり印象に残らなかったっていうか、少なくとも鳥肌が立ような内容のアルバムではなかったし、何度も繰り返し聴いたような記憶もない。CDを買いなおしたきっかけは799円という破格値に他ならないわけだが、そうでなければ、かなりの高確率で二度と聴くことも無く一生を終えていたんじゃないだろうか。僕にとってこのアルバムはそんな一枚にすぎなかった。
ところがどうだ、四半世紀の時を隔てて、むしろ初めて聴くような気持ちでCDを回し聴いてみたら、自分でも不思議なくらいによく覚えているものだ。
楽曲のイントロやソロのフレーズはもとより、サンボーンにしては極めて珍しいソプラノのプレイや後ろで暴れまわるマーカス・ミラーのベース、A.O.R.丸出しで歌うマイケル・センベロ(懐)のヴォーカルなどなどが、当時好きで繰り返し聴いていたアルバムと同じように、ひとつひとつ思い出されるのだ。
ガキの頃と今の、アルバム一枚の重み……
もしかしたら、音楽の聴き方は、今よりもあの頃の方が上手だったのかもしれない。
ベストトラック
7.Straight to the Heart
1.Port of Call
9.Love Will Come Someday
レコード買うのに時間を掛けてた中学生時代が甦りました。
ジャケットを宝物のように眺めていた時代が懐かしいです。
by kazn (2009-04-14 20:51)
kaznさん、ありがとうございます。
中古のレコードでも一枚選ぶのにすごく迷って時間がかかりました。
レコードはジャケットのアートも含めての商品ですね。
紙ジャケのCDは好きじゃないですけど(笑)
by なちゃ (2009-04-15 21:22)
niceをくださった皆様、ありがとうございます。
by なちゃ (2009-04-15 21:23)
>ガキの頃と今の、アルバム一枚の重み……
もしかしたら、音楽の聴き方は、今よりもあの頃の方が上手だったのかもしれない。
確かに今の方が豊かで便利にはなったけれど、1000曲のHDD圧縮音楽より、数枚のレコードの方が、より印象的で生活にもしっかり密着していた気がします。
by 空兵ーS (2009-04-16 21:59)
空兵ーSさん、ありがとうございます。
今の便利さを否定は出来ませんが、心の中にしっかりと残っているのは、昔レコードで聴いていた音楽の方が多いんです。
by なちゃ (2009-04-18 11:44)
素敵な曲ですね♪
確かに子供のころの方が
音楽大切に聞いていたかも...
by sak (2009-04-26 13:51)