Live at Carnegie Hall/Ella Fitzgerald [JAZZ]
サックスという“楽器”がジャズの入口だったからなのかも知れない。
僕なりに名盤と呼ばれる作品を色々と聴いてはみたが、好みのシンガーはなかなか見つからなかった。『奇妙な果実』はタイトル通りに奇妙な歌にしか聞こえなかったし、カマっぽく唄う男前ラッパ吹きの湿っぽい歌声も苦手だった。ブラウニーと吹込んだ『ニューヨークの溜息』と呼ばれるシンガーの、あの名盤でさえ僕にはピンと来なかった。
思うに、どうやら僕のジャズシンガーの好みは、歌唱力や歌詞の内容云々よりも、声そのものに左右されるようだ。
エラ・フィッツジェラルドの歌を初めて聴いた時、僕は先ず彼女の声にやられた。あまりに僕の想像とかけ離れていたからだ。
なにせあの大柄な『おばはん』である。写真で見る恰幅のよい風貌から推すエラの声はハスキーで、ドスと低音が利いたものだと勝手に思い込んでいたのだ。
ところがどうだ、聴こえてきたのは僕の想像とは真逆の、なんとも張りのある艶やかなチャーミングな声……思ってもみない相手のセリフや仕草に『え?』っとなり、惚れてしまうなんてのは男と女にもよくあることだ。
本作『Live at Carnegie Hall』は、白内障を患い引退の噂まで流れたものの不死鳥の如く復活を遂げたエラの歌唱が堪能できる、1973年7月5日のNYニューポートジャズ祭でのライブ盤。
僕が初めて聴いたエラ・フィッツジェラルドであり、そして初めて『ジャズボーカルっていいな~』と感じたアルバムがこれ。
LP盤では収録時間の関係でエラが歌う楽曲を中心に編集されていたが、CDはそのコンサートの完全版。病からの復活を祝い『エラの夕べ』と題されたプログラムの一部始終が2枚のCDに封じ込められている。プロデュースはジョン・ハモンド、伴奏の『チック・ウェッブ楽団』はエラが若き日を共にしたバンドで、この日のために臨時編成された。
ビッグバンドによる華やかな『Stompin' at the Savoy』の後、司会のジョージ・ウェインの紹介でエラが登場。『A-Tisket, A-Tasket』の第一声で参ってしまった。
慣れ親しんだ名の楽団と名手トミー・フラナガンのピアノとジョー・パスのギターを背に、そしてカーネギーホールを埋め尽くした聴衆の大喝采を正面から浴びながら、アップナンバーでは飛び跳ねるゴムまりのように軽やかに、バラードでは優しく諭すように唄う……最高の声と最高の技量と、そして最高の仲間と聴衆に恵まれて嬉々として唄う女王の前では、全盛期の声量との比較も野暮でしかない。
神に祝福された伝説のショーの記録……これはジャズボーカルが苦手な人こそ絶対に聴いておくべきだ。
Thank You,Ladies and Gentlemen……
唄い終えるたびに聴衆に応える、エラのはにかんだような声がこれまたカワイイ。
ベストトラック
disc1-11. I've Got a Crush on You
disc1-01. A-Tisket, A-Tasket
disc2-13. Lemon Drop
>声そのものに左右されるようだ。
とくに男性にとっての女性ボーカルはその傾向が強いと思います。
私も若い頃はあまりボーカルは聞かなかったのですが、エラ・フィッツジェラルドはボーカルでは初めて聞いた生コンサートだったので、人柄が好きでした。しかし、本当にその良さがわかってきたのは、最近ですね。
声の可愛さ、しなやかさ、愛らしさ、もちろん歌のうまさ、
とくにバーブに録音されたものはすばらしいですね。
若い頃のエラのレコードがけっこう高値で取引されているのも分かる気がします。
by 空兵ーS (2009-11-13 00:14)
「恵まれた家庭」のコメント欄が閉じられていましたので、ここに書きます。
鳩山総理の言動、人間性、おっしゃる通りですね。
なちゃ さんのご両親、奥さんの言葉、これこそ本当に「恵まれた家庭」の言葉ですね。
by mwainfo (2009-11-13 10:36)
空兵ーSさん、こんにちは。
ずっと、ジャズはインストに限ると思い込んで聴いていたもので、エラの唄に接するのもずいぶん遅くなってしまいました。
おそらくエラの唄を聴かなければ、ジャズボーカルは今でも聴いていないと思います。
恥ずかしながら、このアルバムを聴いたのもほんの数年前のことなんです。ビッグバンドのゴージャスな伴奏もいいですね~。
可愛い声といえはブロッサム・ディアリーに最近はまっています。
ジャズボーカルに関しては、まだまだ駆け出しな僕です笑
by なちゃ (2009-11-16 11:33)
mwainfoさん、こんにちは。
あ、すみません。コメ欄閉まってましたね。
首相のこの発言は『恵まれた=裕福な』と取らずにいられません。
もうこの時点で、無意識に国民と目線がずれている、と思われても仕方ないでしょうね。
『恵まれた家庭=愛のある幸せな家庭』であると僕は思っています。
by なちゃ (2009-11-16 11:34)
$N+J:;Az, speak.ginzamoonlight.com, これってサクラだろうと思っていたのですが…, http://speak.ginzamoonlight.com/tokyo/57.html
by これってサクラだろうと思っていたのですが… (2011-05-07 04:43)