A Simple Matter of Conviction/Bill Evans [JAZZ]
シェリー:『ふぅ~。なかなか良いセッションだったよな』
エヴァンス:『そうだね、シェリー』
シェリー:『なんだ二人とも座らねえのか?じゃ座らせてもらうぜ。どっこらしょっと』
エヴァンス:『シェリーとはVerveに来て最初の『Empathy』以来だから四年ぶりかな。ベースの彼とは初めてだよね』
ゴメス:『はい!今日はとても勉強になりました』
シェリー:『あれだな。スコット(ラファロ)が急に死んじまったからなぁ。四年前のお前さんの凹みようったらなかったもんな。気の弱い銀行員が胃潰瘍にでもなったみたいな顔だったんだぜ』
エヴァンス:『うん・・・やっぱりあのトリオはスペシャルだったからね』
シェリー:『ああ。お前さんがRIVERSIDEん時に発明した・・・えっとなんだ、インタープレイってやつだろ?』
ゴメス:『ベースやドラムと、対等に音楽で会話する・・・ってやつですよね』
シェリー:『四年前に一緒に演った時も、そのインタープレイって意味では悪くはなかったが、今日のがぜんぜん良かったな。俺はそう思うぜ、ビル』
エヴァンス:『だね・・・ベースの若い彼も凄く良い感じだったよね。名前は・・・えっと・・・』
シェリー:『おいおい、そんなに気に入ったんだったら早いとこ名前くらい覚えてやれよ(笑)。・・・この若いの、お前さんと演奏すんのが夢だったってよ』
ゴメス:『はい、エディ・ゴメスです。ぼく、スコット・ラファロさんの大ファンなんですよ』
シェリー:『そうそう、こいつさ、倅ができたらスコッティ(ラファロの愛称)って名前つけるんだって、今からそんなこと言ってんだぜ。わははは』
エヴァンス:『へぇー、よっぽどスコッティが好きだったんだね。ソロもすごく張り切ってたしテクニックも申し分ない。トーンも良いよね。よかったら次からもベース弾いてみないか?』
ゴメス:『マジっすか!あ、ありがとうございます!ぼく、がんばります』
シェリー:『おー、そいつは二人とも良かったな。長い付き合いになるんじゃないか?俺もLAから飛んできた甲斐があったってもんだ。』
<< ↑ もちろんフィクションです>>
自己のトリオでの絶頂期にして理想の伴侶スコット・ラファロを突然に失い、RIVERSIDEからVerveに移籍したビル・エヴァンス。その後の生涯で最も長く組むことになるベーシスト、当時まだ21歳という若さのエディ・ゴメスとの出会いのアルバムがこれ。
終始ソロを叩いてるかのようなカラっとした西海岸の名手シェリー・マンの巧みなスティック捌きと、若さに任せて憧れのエヴァンスに絡み、高いテクニックを駆使しながら夢なら醒めるなとばかりに嬉々とソロをとるエディ・ゴメス。
そりゃマイルスの天下の名作『Kind of Blue』が持つジャズとしての最上級の完成度や、RIVERSIDE時代に残したトリオでの神が憑いたような密度には敵わないし、RVGのゴリっとした録音は明らかにエバンスのピアノに合わないなとも思う。だけど、音楽なんて密度や完成度や音の良さだけで楽しむものじゃない。一曲目A Simple Matter of Convictionなんかは、一体どういう訳なのかエバンスのソロのいちばん良いところからフェードアウトしてたりもする(僕は演奏が破綻して転けたと想像している)んだけど、そんなところも含めてこのアルバムには、失意の底から這い上がるきっかけを見つけた『素のエバンス』がいるような気がするんだな。そんでもって、なにより会話が聞こえてきそうな味のあるジャケットがいいじゃあ~りませんか。『Stella by Starlight』や『Star Eyes』といったスタンダードの選曲も僕のツボ。半世紀たった今も、CDの年間売り上げで上位を守り続けるRIVERSIDEの四部作とはまた違った、後期エバンス・トリオのインタープレイの出発点がここにある。。。
喜びが大きかったり・・・・・しませんか?
ベストトラック
7.Star Eyes
6.I'm Getting Sentimental Over You
2.Stella by Starlight
もちのロンで自分だけの大切なアルバムありますね~^^
by ユーフォ (2009-12-21 01:37)
あるある大事なアルバム・・・・^^♪
by COYOTE (2009-12-21 19:04)
ユーフォさん、
COYOTEさん、こんいちは。コメントありがとうございます。
自分だけの大切なアルバムが多いのは、音楽ファンとして幸せなことですよね。
by なちゃ (2009-12-23 16:31)
niceを下さった皆様、ありがとうございます。
by なちゃ (2009-12-23 16:32)
久しぶりにジャケットから会話が聞こえてきましたね。
このレコードは持っていません。
自分だけの名盤、
いろんな音楽を聴く楽しみは
ひょっとするとそれを見つける旅なのかもしれませんね。
by 空兵ーS (2009-12-26 11:36)
空兵ーSさん、こんにちは。
はい、旅はまだまだ続きそうです。
今年もたくさんの素晴らしい音楽に出会えましたよ^^
by なちゃ (2009-12-26 16:04)