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Good Time for Love/渡辺貞夫 [FUSION]

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音 色 の 境 地

このアルバムで渡辺貞夫が奏でるアルトサックスは、間違いなくそこに到達しているような気がする。
ジャズ、ボサノバ、フュージョン、そしてワールド・ミュージックと、半世紀を越えるキャリアがまだ道の途中であるかのように、今もなお様々なスタイルの音楽にチャレンジし続ける、渡辺貞夫の膨大な数の作品の中から『ベストな一枚』を選び出すのは、おそらく僕には永遠に無理だと思う。
しかしながら、本作『Good Time For Love』は常に僕の五指の中に入る、大好きなアルバムである。
ウィル・リーが歌う極上のプロポーズソングである、3曲目の『When We Make a Home』は、僕の結婚披露宴のBGMになったくらいだから、そういった意味での思い入れも深い。
とにかく、ここで聴かれるアルトサックスの音色の美しさに耳を傾けてみてほしい。

チャーリー・パーカー、キャノンボール・アダレイ、アート・ペッパー、ジャッキー・マクリーン、ソニー・スティット、フィル・ウッズ、リー・コニッツ、エリック・ドルフィー。。。。
ジャズの歴史を彩ってきた海外のアルトの名人や巨人たち。。。もちろん素晴らしいプレイヤーであることは間違いない。しかし、アルトサックスという楽器をナベサダのように『美しい音色』で鳴らして聴き手を魅了し、ひとつの音そのものに説得力を持たせたミュージシャンが、いったい何人いただろうか?
暖かく優しく包み込むようで、それでいてしっかりとした強い芯のようなものと、確固たる自信に満ち溢れたその音色は、まるで子供の頃に母に寄り添いながら絵本を読み、優しく諭されているかのような。。。そんな深い安らぎを、いつももたらしてくれる。

本作が発表された1986年、既にナベサダは大御所中の大御所だった。
しかし、それに甘んじることなく、サックスという楽器と音楽そのものに、ひたすら挑み続けたナベサダの凄まじいほどの姿勢が結晶となり輝いているような、ラストの『Loving You Is Easy』でのアルトの音色の素晴らしさはどうだ。
長い間、音楽ファンとして色々なアルトサックスも聴いてきたが、この音色の境地に到達したアルト奏者を、ナベサダの他に僕は知らない。

ベストトラック
8.Loving You Is Easy
3.When We Make a Home
7.All the Way


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コメント 4

ゆっぴー

こんにちは。

わーぉ!!
褒めすぎ~~~!ってなくらい、嬉しいコメントです。

このアルバム、オークションで買おうかなと思ったのですが、
いや、待てよ。紙ジャケで再販されるかも・・・と我慢している1枚です。

聞けて嬉しい~~~!

ホント、貞夫さんの音色は、身体の中に沁み込んできますネ!

ありがとうございました。


by ゆっぴー (2008-10-18 17:20) 

なちゃ

ゆっぴーさん、こんにちは。
ははは。ちょっと褒めすぎましたか(笑)。いやいや、それでもほんとに素敵な音色で吹いてはります。
このアルバムは、貞夫さん作曲のメロディーそのものも素晴らしいと思いますので、オークションでポチっといっても決して損はないかと(笑)
でも紙ジャケ再販なら、もちリマスターでしょうから、僕も買いなおすかも知れません。
コメントありがとうございました。
by なちゃ (2008-10-18 19:03) 

れん

聴かせて戴きました~m(__)m
ナベさんの性格そのものが出てるような気、しましたデスゥ~(^^)v
by れん (2008-10-20 01:14) 

なちゃ

れんさんへ。
いや~、本当にそう思います。
あの笑顔、あの演奏は日本の音楽界の誇りですね。
いつまでもカッコいいジャズマンでいて欲しいものです。
コメントありがとうございました。
by なちゃ (2008-10-21 00:24) 

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