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Michael Breckerのベストソロは? [FUSION]

偉大なるテナーマン、マイケル・ブレッカーが
白血病に侵され壮絶な闘病生活の末に亡くなってから
今日でちょうど2年になる。

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天国でも生前の活躍そのままに、相変わらずセッションに引っぱりだこで、今頃はマイルスをはじめ、色んなミュージシャンと一緒に演奏してるのだろうか。
コルトレーンとのテナーバトルとか面白そうだし、ジョー・ザヴィヌルとジャコパスとで新ユニットなんてのも良いかも知れない。2管でやるならフレディ・ハバードのトランペットなんてどうだろう?
そんなことを妄想しながら、ふと思った。。。マイケル・ブレッカーのベストソロって、どれだろうか?

楽器を始めて独学で練習を積むと、先生についてきちんと一からレッスンを受けるよりも早く何曲かレパートリーのような曲ができてくる。
そうなると調子に乗って、困ったことにちょっと天狗になったりするんだ。
もちろん高いレベルから見ると、それこそドレミファの音階をまともに吹くことすら怪しいレベルにすぎないんだけどね(笑)。
その反面で、当の本人はまだまだ自分の伸びしろの限界も知らないので、プロの演奏をレコードで聴きながら、

この曲のソロって簡単そうだなー

とか。。。
このくらいなら、もっと練習すればそのうち出来そうだぞー

な~んて恐れおおいことを考えるようになる……他ならぬ僕のことだ(笑)
まぁ、こうして仕事の後にシコシコと音楽ブログを書いているということは、楽器の演奏は趣味の域を出ることは無かったわけだし、幼児が渡る世間のことを知らない上に、結構"怖いもの知らず"なのと同じなので、ここはつっ込まないでもらいたい(苦笑)

僕がマイケル・ブレッカーの演奏を初めて聴いたのは高校時代。中古で手に入れたギタリスト渡辺香津美の『TOCHIKA』というアルバムだった。。。と思う。
なんとも自信無さげに書いているのは、ご存知のとおりマイケル・ブレッカーは、ジャズやフュージョンといったジャンルだけにとどまらず、ロックやポップスの作品においてもソロイストとしてクレジットされまくっているので、知らず知らずのうちにそのテナープレイを耳にしていたかもしれないからだ。
しかし、僕がマイケル・ブレッカーの存在を初めて知り、『この人はもの凄いテナーマンだ』と素人ながらに認識したのが、このアルバム『TOCHIKA』に収録されている『Cokumo Island』でのテナーソロなのだ。その時の驚きといったらもうね、レベル2で丸腰の勇者がいきなりボスキャラに出くわしたようなもので、ペンタトニックだけでサックスを吹けるような気になっていた僕の糞生意気な思い上がりを見事に一撃で粉砕してくれただけでなく、その後に聴いたブレッカー兄弟やステップスから、様々な海外のミュージシャンを知るきっかけにもなった。

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さて、この『Cokumo Island』、日本では既にポールウィナーの座を獲得し天才ギタリストの称号を欲しいままにして、世界標準を目指してN.Y.に乗り込んだ渡辺香津美のギターソロも気合が乗っていて、もちろん素晴らしい。
しかしサックスをかじっていた僕は、その後に続くマイケルのテナーソロに参ってしまったんだ。
ギターソロの熱気を軽くいなすように着地したマイケルが徐々に加速していく。中盤からトップギアに入ったスーパーカーのようなスピードでスリリングにスケールアウトするマイケルの怒涛のようなフレージングは、まさに圧巻だったし、テナーの最低音域からフラジオ音域に至るまで、縦横無尽に駆け上がり駆け下り、自在に音を飛躍させる精確な運指とリードコントロールによるアーティキレーションの巧みさ、オルタネイトフィンガリングを連発する複雑なシーケンスフレーズは、サックス吹きのはしくれの僕には、ただただ信じ難き神業にしか思えなかったし、その驚異の吹奏技術は逆に言うとサックス吹きにしかわからない領域であると言ってもいいかもしれない。
もちろん僕はマイケルが残した全ての演奏を聴いたわけではないが、この『Cokumo Island』でのテナープレイは、そんな衝撃度もあいまって、誰が何と言おうとマイケル・ブレッカーのベストソロとして僕の中で揺ぎ無い輝きを放ち続けている。そして、それは今後も変わらないだろうと思うのだ。
マイケル・ブレッカーが新作を携えてこの世に生き返るという、そんな奇跡が起きない限りは。。。

Cokumo Island/Kazumi Watanabe

■渡辺香津美『TOCHIKA』の記事はこちら
■マイケル・ブレッカー『聖地への旅』の記事はこちら


ちなみに、個人的な次点はステップス『Smokin' in the PIT』の『Not Ethiopia』でのソロです。
こちらは渡辺香津美がゲストで参加している名演奏。スティーヴガッドのドラムが、かなりスゴイ。
YouTubeの制限時間ぎりぎりでFOしてます。

Not Ethiopia/Steps


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土佐のオヤジ

わははは~、
マイケル・ブレッカーとの出会いが「トチカ」で、
その後、ブレッカーブラザース、ステップス・・・。
オヤジと全く同じだ!同じ過ぎる!
いやはや、同世代。
なんとなく嬉しくなります。

by 土佐のオヤジ (2009-01-14 14:19) 

なちゃ

オヤジさんもそうでしたか!
トチカ→マイケル→ステップス→フュージョンにどっぷり
このパターンの人、結構多いような気がします。
共演のミュージシャン繋がりで世界が広がっていくのもジャズやフュージョンの楽しみのひとつですよね。

by なちゃ (2009-01-14 22:30) 

kazn

いやはや、なつかすいジャケットが登場しちゃいました。
by kazn (2009-01-14 22:41) 

sak

サックスの音、大好きです♪
素敵な音楽聴くことができました(^^
by sak (2009-01-14 23:29) 

nexus_6

天国のマイルスバンド、何とも贅沢ですね。

マイケル・ブレッカーは何故か Two Blocks From The Edge だけ持っています。深町純のアルバムに多数参加していたことを後で知りました。
by nexus_6 (2009-01-15 22:07) 

なちゃ

・kaznさん、こんばんは。
TOCHIKAもSTEPSも忘れられないアルバムです。

・sakさん、こんばんは。
マイケルのサックスの音圧は、それだけで僕にとって驚異でしたね。
それに加えて、あの上手さときたら。。。

・nexus_6さん、こんばんは。
天国でマイルスと演るには、あまりにも早くて残念ですね。
深町純といえばNYオールスターズでしょうか。久々に聴きたくなってきました。


by なちゃ (2009-01-15 23:41) 

B

今日、高校一年になった娘にギターを買ってあげました。そのためか、渡辺香津美が思い浮かび、そしてKokuo Islandへと...。そう、Breckerですよね。私はsmokin' in the pitから入りました。ずーっとBrecker追いましたが、2002~2004にNew Yorkで過ごすことが出来た時期があり、久しぶりにBreckerを間近にみました。Dave Liebmanとやっていました。相変わらずではありましたが、すでにMDS(白血病の手前の病気です。)にむしばまれていた感じはありました。Cokumo Islandは熱い!私もBreckerの最高のソロと思います。Fadeoutの後の演奏が聴きたいです。それにしてもMilesとBreckerが天国で聞けるなら、死ぬのは全然怖くないですよね!


by B (2013-09-16 19:20) 

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