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A GRP ARTISTS’ CELEBRATION OF THE SONGS OF THE BEATLES [FUSION]

デイブ・グルーシンとラリー・ローゼンによって設立されたジャズ・レーベルGRP。
GRPとは『GRUSIN/ROSEN PRODUCTION』の略であることは知られてるけど
1994年にグルーシンとローゼンが会社を離れて新たにトミー・リピューマが社長に就任。
その名を『GREAT RECORDS PERIOD』としてGRPの三文字の略字を引き継いだんだな。
スムースジャズ系のミュージシャンを多く擁していることでもよく知られているね。
フュージョン好きな僕にとっては安心して手を出せるレーベルのひとつだな。

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クリスマスも近いことだし、ジャケットの色彩的に『クリスマス・アルバムかな?』と思った人もいたかも知れないけど・・・・
12月8日は世界中でひときわジョン・レノンの、そしてビートルズのナンバーが流れ、歌われていたんだろなうと思う。
僕はというとね・・・・ひっそりとこれを聴いてましたよ(笑)。
このアルバムは、GRPレーベル所属のジャズ・フュージョン系のミュージシャン達によるコンピレーション盤で、タイトルが『A GRP ARTISTS’ CELEBRATION OF THE SONGS OF THE BEATLES 』……長っ(笑)
そうです。つまりはビートルズのカバーアルバムね。
このアルバムがリリースされた1995年といえば、ビートルズ的には『ANTHOLOGY 1』や新曲としてリリースされた「Free As A Bird」で、ちょっとしたブーム再燃みたいな年だったかね。

1. ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード(ジョージ・ベンソン)
2. シーズ・リーヴィング・ホーム(マッコイ・タイナー)
3. シーズ・ソー・ヘヴィ~アイ・ウォント・ユー(グルーヴ・コレクティヴ)
4. アンド・アイ・ヒム(ダイアナ・クラール)
5. ザ・フール・オン・ザ・ヒル(トム・スコット)
6. ミッシェル(ラムゼイ・ルイス)
7. ア・デイ・イン・ザ・ライフ(リー・リトナー)
8. レット・イット・ビー(ネルソン・ランジェル)
9. エリナー・リグビー(チック・コリア)
10. ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス(ラス・フリーマン)
11. イン・マイ・ライフ(スパイロ・ジャイラ)
12. ヒア・ゼア・アンド・エヴリホェア(デヴィッド・ベノワ)
13. ブラックバード(アルトゥーロ・サンドヴァール)
14. イエスタデイ(デイヴ・グルーシン)
15. イマジン(木住野佳子)

どうっすか、豪華15組のジャズ・フュージョン系ミュージシャン(グループ)によるビートルズのカバーが全15曲。しかしこの頃のGRPの顔ぶれって凄いものがあるよね。
当時新社長となったばかりのT.リピューマ自身がエグゼクティブプロデューサーとして関わっていて、当時日本人として初めてGRPとインターナショナル・アーティスト契約したピアニスト木住野佳子の名前も見える。ただしこれは日本盤のボーナストラック。
ビートルズのカバーアルバムってのは、かなりの数があるんだろうけど、本作は15曲中13曲がインストルメンタル。ごりごりのジャズってわけじゃなくフュージョンぽい曲が占めてるかな。僕てきには選曲も人選も実にツボをついていてなかなか良いんだけど。
アルバムアートがピーター・マックス(映画『イエロー・サブマリン』のタッチに影響を与えたとされる美術家)ってのも、なにげに拘ってないかい?

美しいストリングスをバックに聴かせるジョージ・ベンソンの①の甘い歌声とギターでスタート。生粋のジャズマン、マッコイ・タイナーが叙情的にピアノトリオで奏でる硬派な印象の②。GRPの看板ボーカリスト、ダイアナ・クラールが切々と歌い上げる④。フュージョンサックスの名手トム・スコットが⑤をエネルギッシュにブロウする。斬新な解釈で曲に新たな魅力を見い出せるのは⑥Michelleのラムゼイ・ルイスと③She's So Heavyのグルーヴ・コレクティヴ。リー・リトナーがウェス・モンゴメリーよろしく披露するジャジーなオクターブ奏法が渋い⑦。メロディへの忠実さが持ち味の泣き節を際立たせる⑧はネルソン・ランジェルのアルトサックス。⑨Eleanor Rigbyは御大チック・コリアが貫禄のタッチでソロピアノを聴かせる。切れのいい打ち込みのリズムにホーンセクションが心地よいラス・フリーマンの⑩。スパイロ・ジャイラはベテランらしい流石のバンドアンサンブルで爽やかに⑪In My Lifeを。原曲を裏切らないピアノタッチのシンプルな美しさデヴィッド・ベノワの⑫。一転してビッグバンドスタイル、ゴージャズなアレンジで痛快にトランペットソロを決めるアルトゥーロ・サンドヴァールによる⑬。そしてビートルズの中でも一、二を争うであろう名曲中の名曲Yesterdayは、GRPレーベルの創始者デイヴ・グルーシンによるピアノ独奏。ラストは日本人の木住野佳子によるピアノによるジョン・レノンのImagineでしっとりと締め。

ビートルズの楽曲は多くのミュージシャンやバンドがカバーとして取り上げている通り、僕が今さら言うまでもなく素晴らしいと思う。
楽曲に独自の解釈をねじ込んで、時に原曲の持つイメージを切り崩すことも厭わず発展させていくジャズミュージシャンとて例外じゃないのは、ビートルズナンバーのメロディがテーマとアドリブというインストルメンタルの手法で演じても魅力を失わないという証左なんだと、この種のアルバムを聴くと改めて実感するね。もちろん企画として勝算が高いというのもビートルズナンバーの人気ゆえだろうし。

ジョンが死んだ日、4人のビートルズが本当に終わってしまった日・・・それは彼らの残したメロディに翼が生えて新たな可能性が芽生え始めた日でもあるのではないか・・・と考えられなくもない。
ビートルズナンバーは、こうして永遠にジャンルを超えて愛され続けるんだろうね。

この地上に音楽のある限り。。。。

ベストトラック
14. Yesterday / Dave Grusin
12. Here There and Everywhere / David Benoit
8. Let It Be / Nelson Rangell






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コメント 7

丹下段平

これは知りませんでした。ジャケットもイイし、欲しくなりました。
by 丹下段平 (2009-12-09 00:23) 

yukky_z

おお、なちゃさんが選ばれたナンバーは、
全てポールの曲ですね。まぁ、偶然でしょうがね。
by yukky_z (2009-12-09 19:16) 

kazn

デイブ・グルーシンが渋かったです。
これからYou-Tubeで大好きなトム・スコットを聴いてから、
HMVに行って注文しま~す。

by kazn (2009-12-09 19:56) 

イチロ

音楽としての可能性や、発展系としてのJAZZ系の音楽が
僕は大好きですが、このアルバムは僕もすごく好きです。
ビートルズの遺した曲は、やっぱりずっと輝き続けていくと思います。
素直に曲が良いもん。
ずっと、どこかで誰かが鼻唄を歌っていそう。
音楽は、続いていくよ。
by イチロ (2009-12-09 22:38) 

空兵ーS

座布団3枚の空兵です。
ビートルズのカバーアルバムはたくさんあるのでしょうが
こんな構成のものがあるとは知りませんでした。
ちょっと聞いて見たいですね。

by 空兵ーS (2009-12-12 00:01) 

なちゃ

コメントを下さった皆様、ありがとうございます。
フュージョンのコンピにしては、良く出来た企画モノだと思うのですが、先日ブックオフで叩き売られてました^^;
フュージョンも下火なんですね・・・それでも僕は好きですけど(笑)
by なちゃ (2009-12-12 23:32) 

なちゃ

niceを下さった皆様、ありがとうございます。
by なちゃ (2009-12-12 23:32) 

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