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Ratamacue/Harvey William Mason, Sr [FUSION]

アメリカのジャズ・フュージョンシーンに君臨する名ドラマーといえば、
スティーブ・ガッドとハービー・メイソン。

ガッドにしてもメイソンにしても、フュージョンが最も輝いていた70~80年代、
ジャンルを問わず其処ら中のアルバムでブイブイいわしていた
若い頃のパワーはさすがに衰えたとはいえ、
東の横綱ガッドに西の横綱メイソンと呼ばれるに相応しい素晴らしいドラマーだね。

 

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自己名義のアルバムに関しては、ガッドはあまり積極的ではない印象だけど、メイソンの方はソロアルバムもコンスタントにリリースしているよね。2004年にH.ハンコックやB.メルドーやC.コリアなどなど豪華なピアニストを招いて録音したジャズアルバム『With All My Heart(Trios)』がグラミー賞に輝いたのは記憶に新しいところ。
このアルバムはそのちょっとだけ昔。1996年、Atlanticからリリースされたハービーメイソン7枚目のソロアルバム『Ratamacue』。Fourplayのメンバーが数曲に参加してるだけでなく、ジョージ・デューク(p)、ハーブ・アルパート(tp)、ドン・グルーシン(p)、シーラ・E(perc)などなど、なんとも豪華なメンツ。リトナーとはジェントル・ソウツからの付き合いだもんな。


で、内容はってぇと、『コンポーザー、アレンジャー、プロデューサー』としてのメイスンの作品って色合いが濃いかな。強いて言うなら『メイスンのソングブック』のような作品って印象なんだけど、とにかく冒頭の4/4拍子で演じる『テイク・ファイブ』が素晴らしい(つうか面白い)。
ジャズファンなら知らない人はいないであろうこの超有名曲は、タイトルに示されてるとおり元々は5/4拍子。スタンダードとして演じられる場合も殆んどは♪ンダ・ンダ・ンダ・ダッ・ダッ♪ってな3拍+2拍=5拍子のリズムが定石なんだけど、それを4拍子で何の違和感もなく仕上げてしまう、リズム職人メイソンのリズムセンスに先ず脱帽。最も有名なD.ブルーベックカルテットで聴き慣れたポール・デズモンドのアルトソロを書き譜にしてサックスとマリンバのユニゾンにアレンジしてるのも面白いし、シャッフルするリズムとパワフルで歯切れの良いドラムソロのカッコ良さったらない。
メイソンのオリジナルを中心に配した後続の9曲がこれまた秀逸でバラエティ豊か。リットのギターが美しく唄うフォープレイ風の②『8:22 A.M.』、ノリノリのこれぞフュージョンナンバー③『Ratamacue』、フルートとビブラフォンが奏でる日本人好みの哀愁バラード④『Noble Places of the Heart』、ジャジーな雰囲気にボブ爺の存在感が際立つ⑥『Whatever It Is』、フィル・ペリーのボーカルによる切ないAORバラード⑧『Crush』などなど、メロディアスな佳曲が並ぶ・・・メロディ良しアレンジ良しの楽曲を引き立てるメイソンが叩き出すグルーヴはまさに横綱相撲。
あと、殆どのトラックでフューチャーされているメイソンのマレット捌き(マリンバ・ビブラフォン)も大きな聴きどころだな。これがかなりの腕前で、好き勝手が許されたソロアルバムでの一芸披露の域に留ってないのが素晴らしいね。そりゃまぁG.バートンやM.マイニエリのようなバカテクってわけじゃないけど、楽曲に柔らかな浮遊感というか彩りを付与しているというか、実に好感の持てる演奏だと僕は思う。
ラストは本業のドラムそっちのけでマレットを手にボブ爺とのデュオ小曲でしっとりと締め。

んー。このアルバム、かなりの良盤だと思いますよ。フュージョン好きの方は、タイトルくらい覚えておいても絶対に損はないかと。
ちなみにタイトルの『ラタマキュー』とは、ドラムのスティッキング技法のひとつなんだって。ドラマーの拘りが表れてるね。

ベストトラック
1:Take Five
5:Scream
3:Ratamacue





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コメント 11

yukky_z

スティーヴ・ガッドはロックやポップス系のアーティスト
ともよく競演してますよね。ポール・マッカートニーの
『Take It Away』でも競演しています^^
by yukky_z (2010-03-14 02:31) 

nyankome

スティーブ・ガッドは確かポール・サイモンとも。
by nyankome (2010-03-14 23:28) 

ノーバッド

オイラのスティーヴ・ガッドのイメージ。
ポールと、やっぱりクラプトンですかね (^^♪
by ノーバッド (2010-03-15 12:55) 

chako

久々にTake Fiveを聴きたいと思いましたが…ブロックされてましたヨ。大丈夫ですかぁ?
by chako (2010-03-15 23:57) 

なちゃ

yukky_zさん、 nyankomeさん、 ノーバッドさん、こんばんは。
ガッドのドラム、僕の場合はフュージョン系のアルバムで出会いましたので、そちらの印象が強いです^^
洋楽ではS&Gのセントラルパークのライブかな・・・
by なちゃ (2010-03-16 00:32) 

なちゃ

chakoさん、こんばんは。
あ、ホントだ・・・
自分は常にYoutubeにログインしてる状態なんですけど、一旦ログアウトすると聴けないですー^^;
アップした時に、『一部の地域でブロック云々』と警告されたのですが、日本も含まれてるのですかね・・・ご指摘ありがとうございました。
改めてmp3を貼り付けましたので、もしよろしければ^^
by なちゃ (2010-03-16 00:38) 

たいへー

ドラムの優劣は、音楽自体も左右しますね。
他のプレイヤーも、それに見合う力量ならば、
素晴らしい音楽になるのでしょうね。
by たいへー (2010-03-16 07:30) 

空兵

初めて買ったジャズのLPはCBSソニーの二枚組で
マイルス・デイビス、ビル・エバンス、ポールデスモンドとブルーベックの「テイク・ファイブ」などが入っていました。
「テイク・ファイブ」もともと暗い曲ではないけれど、
こんな楽しげな演奏もあるんだなぁと思いながら聞きました。
by 空兵 (2010-03-16 21:27) 

なちゃ

たいへーさん、こんばんは。
仰るとおりだと思います。
アマチュアバンドでも、リズム隊(ドラム・ベース)の巧拙で音に歴然とした差が出ますね。
経験者語る・・・笑
by なちゃ (2010-03-20 00:19) 

なちゃ

空兵さん、こんばんは。
あ、お名前、”S”をとられたんですね。
はじめて買ったジャズのLPは・・・僕は70年代のナベサダでしたけど、洋モノは『サキコロ』でした^^
テイクファイブは、80年代にアリナミンか何かのCMで使われたのを聴いて知りました。
by なちゃ (2010-03-20 00:22) 

なちゃ

niceを下さった皆様、ありがとうございます
by なちゃ (2010-03-20 00:23) 

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