HAPPY LIFE!/坂東慧 [FUSION]
ソロアルバムってやつに、何を期待するかは人それぞれだろうけど
僕はいいアルバムだと思います
坂東慧は1983年生
まれのドラマー。T-SQUAREに加入した時はまだ20歳そこそこだったのが、気づけばもう27歳。今やドラマーとしてバンドのリズムを支えるだけでなく、主力コンポーザーのひとりとしてもバンドに貢献してるよね。ライブDVDか何かで初めて演奏を見たときは彼の若さも相まって、「こりゃまた凄いの見つけてきたなぁ」ってのが印象だったんだけど、ドラム技術はもちろん彼の作る楽曲の「それっぽさ」にも驚かされたもんです。1983年ってば、スクェアのアルバムでいうと『うち水にRainbow』の頃。てことはデビューした時は影も形もなかったわけか。「TRUTH」の頃は・・・まだ園児????
・・・そういえば当時はまだザ・スクェアだったっけか。
とまぁ、こんなこと考えてると、すっかり日本屈指の長寿バンドとなったスクェアってバンドの歴史というかさ、いやそれよりも自分に寄る年波ってのを痛々しく実感してしまうわけで(笑)。それはともかく坂東慧の初のソロアルバム。
全て坂東慧による作・編曲・プロデュース。ドラムの他にキーボード、ピアノ、プログラミングも担当。
宮崎 隆睦 (Sax,EWI,Flute)
上條 頌 (Guitar)
菰口 雄矢 (Guitar)
堂島 孝平 (Guitar)
後藤 克臣 (Bass)
櫻井 哲夫 (Bass)
田中 晋吾 (Bass)
佐藤 雄大 (Piano,Keyboards)
白井 アキト (Keyboards)
こうしてメンツ見てると、知らない名前もちらほらと有るんだよな。ほら、あの櫻井哲夫が浮いて見えるくらいに若いミュージシャンばっかで、日本のフュージョンもずいぶん世代が変わってきたのかね・・・って思う。
80年代にフュージョンのブームが去ってからもう何年も経つけど、今の若いミュージシャンがこうやって腕によりをかけてフルインストのアルバム作ってるってのは、僕ら古臭いフュージョン好きにしたら、ホントに嬉しい限り。
サウンドはいたってスクエア。「え?CD間違えた?」って思うくらいスクェア。1曲目の出だしがスクエア、2曲目のサビがスクエア、3曲目のBメロがスクェア、4曲目のイントロが(以下略)・・・・もうこれ以外に例えようがないってくらい『ど
スクエア』なわけで、本物よりそれらしいかもしれない。たとえばサビでお約束のように現れるサックス&ギターのユニゾンだったり、たとえば運転中に思わずスピードが上がってしまう8ビートだっ
たり、たとえば胸のどこかがほんのり温かくなるようなバラードの高揚だったり・・・楽器なんて弾けなくても、音楽理論なんて知らなくても、言葉の無い演奏
だけで人を楽しませる、惹きつけて見せる・・・そんなスクェアのDNAつうか伝統みたいなのが、全ての楽曲のどこかしらに宿ってるんだよな。
それはもしかしたら彼がガキの頃から追って追って追い求めた大好きな楽曲へのリスペクトのようにも取れるし、バンドを離れた『いちクリエイター』として、どこまでスクェアのサウンドに追随できるかに挑んでるようにさえ感じる。そのくらい「敢えて」スクェアぽいアルバムに仕上げられている。これは彼自身のプロデュースだということから考えても、確信犯なのだと僕は思う。
いやはやここまで正面向いて正々堂々とやられると『お前さんそんなに大好きなのか、まぁその調子で頑張れよ』って気分にさせられるわな。
坂東ファンはもちろんだけど、アルバム3枚でバンドを離れた3代目フロントマンの宮崎隆睦がほぼ全曲で参加ってのもいいね。2000年の夏、突如の脱退にがっかりした宮崎ファンにも嬉しい一枚。アルト、ソプラノ、EWIで実にいい仕事してます。
全10曲・51分。才能はまだまだ溢れてるのかもしれないが、それを詰め込み過ぎてないのもGOOD。インストのアルバムにはちょうど良い長さだと思う。
ベスト・トラック
10.ハッピー・ライフ!
6.メロディ・ロード
9.十七年越しの約束
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